ギアナ高地、エンジェルフォール
2012年にベネズエラを一人旅しました。
現在(2016年)と違って、原油高であり、チャベス政権がちょうど選挙で再勝利したタイミングであったため、それほど旅するのに危険な状態ではありませんでした。
今回の目的は、10億年以上も海に沈まず陸地であり続け、テーブルマウンテンと呼ばれる奇山がある秘境ギアナ高地を旅することと、世界一の落差(約1,000m)あるエンジェルフォールを見に行くことです。
そして、人類が出アフリカから数万年、グレートジャーニーの終着地である南米大陸に私は初めて足を踏み入れました。
■旅程
○ギアナ高地
ベネズエラの首都カラカスから、空路と陸路でシウダーボリバルへ。
その後、ジープで、四国ほどの大きさがあるギアナ高地のカナイマ国立公園を横断します。通称、グランサバナと呼ばれており、三泊四日になります。
このギアナ高地は、車で走ると分かりますが、植物相も大きく異なるとともに、インディアン(ペモン族)の村々がそこかしこにあります。そして、見どころはその雄大な景色と所々にある滝となります。
アボンガォン滝(Apongwao)、パチェコの滝、カマの滝、ジャスペの滝、
そして、テーブルマウンテンで最も有名なロライマ山を含めた景色。
またブラジルにも一歩足を踏み入れましたが、そのあたりは、ジュラシックパークのモデル風景にもなった場所。一目見れば、「映画のあのシーンか」と分かるような、シダ植物の平地が続いています。
○エンジェルフォール
世界一の落差がある滝、エンジェルフォール。世界の魔境や秘境、などと呼ばれていますが、きちんとツアーで見に行くことができます。しかし20世紀初頭に発見されたことから分かるように、なかなかの難所にあります。
シウダーボリバルから5人乗りセスナでカナイマに移動します。約1時間。
その後、丸太舟にYAMAHAのエンジンを積んだボートでエンジェルフォール近くのラトン島に移動。この移動は、ボートが2時間程度、スコールはあるし滝の水をかぶるし、乗っているだけですが大変な移動です。
そしてラトン島到着後、エンジェルフォールに最も近いライメ展望台まで1時間山登り。驚くのは、観光客が以外に多いところ。しかも海外からの観光客ではなく、おそらく地元ベネズエラのお客さん。
私は、ラトン島に宿泊しハンモックで寝ましたが、ほとんどのツアーは、近くのカナイマから日帰りでエンジェルフォールに向かうようです。
そのカナイマは、湖畔に面したリゾートっぽい雰囲気ですが、バックパッカーもなじむよい雰囲気だと思います。
■印象
・エンジェルフォールあるある
エンジェルフォール“あるある”かもしれませんが、よくガイドブックには、「あまりの高さに滝つぼがない」と説明されています。
いえいえ、しっかりありました(笑)。雨季が近かったこともあり雨量が多かったのでしょう。
そして、高さを感じるのは、上を見上げた時。
滝から落ちてくる水がまるで止まっているように見える。
・先住民族であるペモン族の生活
カナイマ国立公園にはペモン族の村々があり、またエンジェルフォールの村カナイマはペモン族によって運営・ガイドがされています。国によって保護されている、とあまり感じられない、主体的な生活をしている印象を持ちました。
観光業が主な収入源のようですが、地域によっては狩猟や栽培で暮らしているようです。この狩猟も、南米には大型動物はおらず、カピバラやシカがターゲットということです。そして銃で狩りをするとのこと。グランサバナを走っていると、そこかしこに煙が上っています。ペモン族が狩りのためか、サバンナに火をつけているようです。
グランサバナではペモン族に案内されましたが、やはりすべての地形に意味を見出していますし、植物にも通じています。例えば、「このアリ食べてみ」と言われて口にするとミントの味。このアリはすりつぶして肌に塗り虫よけに使うそう。
そして道端で出会ったペモン族の一人は、アナコンダに腕をかまれて半年入院していたという。
エチオピアのような掘っ立て小屋に上半身裸、という生活ではなく、ペモン族の人は普通にシャツを着て服を着ていますし、衣服は普通です。
外見は、モンゴロイドのような、鼻が大きく髪は黒く瞳は黒色です。それだけで親近感がわきますし、何よりお金お金をせがんでこない(笑)。非常に良い民族だと印象に残りました。
ただ、先住民族と感じたのはある村を通り過ぎた時。カラフルな平屋で一部屋だけの建物があり「あれは何だ」とガイドに聞きました。学校だということ。自由に入れますし黒板もありました。建物はあるが、問題は「先生がいない」とのこと。原住民に教えたい先生はいない、とのことでした。
また先住民の文化によくあるように閉鎖的な面もあります。例えば、ペモン族がほかの民族と結婚する場合、集落の外に出ないといけない。自らの村を守る、ということに固執するような風習でもあります。
・国や民族を超えるには。
グランサバナを案内してくれた方は、ドイツ系のベネズエラ人でした。
エンジェルフォールでカナイマを案内してくれたのは、ベネズエラ人とペモン族のハーフの若い女性でした。
そして、他の国でもガイドをしてくれる方は先住民族とのハーフ、という方が多い印象です。
そして、彼らは全て親切であり、面倒かもしれませんが一人旅のこちらを気にかけてくれます。
もちろん、そういった方々がガイドになって収入を得やすいという環境にあったのでしょう。
しかし、民族や国に縛られない考え方をしているのも事実なのかも、と感じます。
思い出すのは学生時代、在日韓国人の学生と話した時です。「私は韓国でもあり、日本人でもある。どちらの気持ちもわかる」と言っていたのを思い出します。
人が決めた壁をやすやすと超えていけるのは、知性や理性も大事ですが、ハーフなど育った環境が良い影響を与えるのか、と感じます。
![]() ギアナ高地 グランサバナ/Guiana Highlands | ![]() ペモン族の食事、カピバラの肉/Capybara | ![]() ギアナ高地アポンワオの滝/Salto Aponwaoベネズエラ ギアナ高地にあるアポンワオの滝。 幹線道路からボートと徒歩で移動しペモン族の方に案内してもらう。 徒歩途中では、昔の先住民の住居や食肉植物、アリを食べる。 | ![]() ペモン族の学校カナイマ国立公園内にあるペモン族の集落の学校。 しかし、先生がいないらしい。 周りには凧揚げで遊んでいる子供がいる。 |
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![]() ギアナ高地 ユルアニの滝/Salto Yuruani | ![]() |