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高千穂と秘境椎葉村

-天孫降臨の地での神楽と平家落人伝説の地-

2013年、宮崎県は高千穂神社で催される夜神楽と、椎葉村の神楽と風景を旅しました。

椎葉村(しいばそん)は、日本三大秘境の一つであり、知られているのは、一つは平家の落人伝説。そして一つは、日本で唯一の焼き畑を営んでいる家がある。こちらの民宿「焼畑」にもお邪魔しました。

■旅程

○天孫降臨の高千穂

高千穂地域は宮崎空港から行く経路と熊本空港から行く経路があります。

私の場合は、熊本地震で被害にあった阿蘇神社や阿蘇山経由で高千穂に入りました。

地震で倒壊する前の阿蘇神社の門は大変立派で、また秋だったため大銀杏も豪快な姿をしていました。

(2016年熊本地震で被害にあわれた地域の一刻も早い復旧を祈念いたします。)

高千穂に入り、高千穂神社の秋祭りを拝見しました。

○日本三大秘境 平家落人伝説の椎葉村

高千穂から椎葉村へ。椎葉村は、平家落人伝説で有名な場所。特に、那須大八郎と鶴富姫の悲恋で有名で、秋には平家祭りがあるそうです。

重要文化財にも指定されている鶴富屋敷や、平家の守り神の椎葉厳島神社などを見たのち、合戦原地区の王宮神社で夜神楽を拝見。

この鶴富屋敷から合戦原までは、カーナビでは4時間、環状線の道に沿うよう案内が出ますが、これは間違い。車一台が通れる山中を縦断する道があり2時間もかからず到着できました。道路標識を信じましょう。

そして、美郷町の百済の館へ。ここは、百済の亡命王子が逃れてきた場所です、今でもその王と王子をしのぶお祭りを開催しているとのことです。

そして、椎葉村の民宿焼畑へ投宿。ここは、日本で唯一焼き畑農業を通常生活の中で続けている宿で、このクニ子おばあちゃんはメディアでも出てくる有名な方。薬草、家の建築、焼き畑農法、昔からの伝承、すごく記憶が豊かで、また好奇心の強い方でした。

○平家落人、菅原道真末裔の 熊本 五家庄

民宿焼畑から山道を経由して熊本五家庄へ。

この五家庄も平家の落人伝説がある村。椎葉村ほど有名ではないですが、平家の館として落人伝承を伝える資料館もありますし、また、追っ手を振り切るため吊り橋もあります。

 

そして、ここは、平家のみならず菅原道真公の子孫も逃れてきており「左座家」として伝わっています。

 

なお、椎葉村からこの五家庄へ抜ける道、カーナビでは遠回りで数時間となりますが、焼き畑の方に聞いて、椎葉村から山中を通り抜けられる道がしっかりあります。ここもカーナビを信じるな^^

 

(下へ続く)

■印象

○高千穂神楽と椎葉神楽を拝見して

日本人の神の在り方を感じます。感謝を捧げ恐れ敬う一歩通行だけでなく、神楽舞の中では土を固め奮い起こしたり、神楽殿に神を降ろそうとしたりと人が能動的なインタラクティブさを感じます。

人の力強さと神の柔和さを表現している印象を持ちました。

 

高千穂神楽では、舞の中では猿田彦やウヅメなどは面を被ります。つまり神様役にはお面という媒介者を通し語りかける。この神との交流においては、第三者がいるんであって、ヨーロッパのような人と神様が直接対話があったり半人半神のような形は無い気がします。

また椎葉の神楽は地元の人の楽しみの場。エンターテイメントでもあり、社交場でもある感じです。人の楽しみの根本に触れた気がします。

 

○椎葉村での平家後抄、貴種流離

椎葉村では平家の落人伝説が根付いています。

例えば、顔と言葉。上椎葉は面長系。現地の人によると、大河内などの南側は源氏、上椎葉の北側は平家らしいです。言葉も上椎葉には京言葉が残っており、「帰る」ことを「いぬる」と言う。

そして、この山村は、百済の王(福地王と禎嘉王)が国滅び大和に逃れ、その後また、ここ宮崎まで逃れてきたが、最後に討たれた地ということ。また熊本五家庄には、平家落人のみならず菅原道真の子孫が逃れて居を構えている。

平家に百済に菅原、と時代の貴人・貴種がこの地に流れて居を構えていて、現在まで伝説が続いていることに驚きます。大和吉野地方なみに歴史の裏側ですが、吉野と異なり、この地は反撃や表に出ようとしない。

 

○山村の生活、互助の魂

現地の人からいろいろお聞きできました。

畑ができるのはご先祖様のおかげで感謝していること、

殺生もせず暮らしてきたので子孫もたくさん恵まれている、

料理の豆腐は野菜入りで大豆の節約のため、

蛇の卵を産んだ女性の昔話、

昔は夜這いの習慣がありそのため姫の部屋があること、

今は村の生活も金銭でやり取りするようになり互助の風習が亡くなったこと

などなど、日本昔話かく在りなん、といった貴重なお話でした。

→ルソーの「自然に帰れ」を引き合いに出すと、自然に囲まれることや農業・漁業といった食い扶持の話だけではなく、過去からの伝承や信仰、集団生活の助け合い、など人として本性に従って生きる、そのような大切さを学んだ気がします。

→過去を継続するだけでは村が世界から取り残されますが、これからどうなっていくのか、興味深い場所です。

 

 

(終わり)

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