大分国東半島
-六郷満山文化に見る神仏習合、修正鬼会、石仏、隼人-
2017年に国の重要無形民俗文化財に指定されている岩戸寺の修正鬼会と、宇佐神宮に代表される神仏習合で有名な六郷満山の寺社を見に行く。
■両子寺へ。
六郷満山は天台宗。最澄が塔にわたる際にここの宇佐神宮で旅の無事を祈ったのが縁らしい。中山本山、ということなので、中山=修行の場所、という意味。
寺の入口には人がおらず、自分で300円を支払いパンフを取る。こういったところが良い雰囲気。鳥居(寺なのに)をくぐって奥の院へ。ここは子授け祈願の場所らしく絵馬にもその願いが多い。
ここは山門の阿形吽形の石像が有名。日本の石像の大半はここ国東半島にあるとのこと。
(続)
■岩戸寺の修正鬼会
夕方で暗くなることお寺につくが、ここは携帯電話が入らない。
水勤行、講堂で無事を祈る杯の儀、松明を燃やし参道を歩くタイアゲ、六所権現と薬師堂に献灯など儀式が続く。
六諸権現というのが、国東半島の六郷満山の神仏習合を表している。六所権現が神様を祀ったもので、それが国東半島の各お寺の奥に鎮座している。
正装の勤行まで真面目な?儀式。その後、会話や笑いもあり、信仰されていく。
米華(まいけ)、 開白(かいびゃく)、香水、四方固め、鈴鬼、鬼走り、災祓い鬼で参拝客も祈祷される。
その後、深夜には鬼が寺を降りて、集落を「オーニワヨー、ライショワヨー」と掛け声を駆け巡る。
(続く)
■日本の歴史で必ず学ぶご神託で有名な宇佐神宮から巡り、六郷満山の寺社を周る。
一番心に残ったのは宇佐神宮菩提寺の大善寺。住職さんの奥さんかからお話を伺うと、平家と関係があるお寺とのこと。
もともと宇佐神宮も平家とも関係があり、能の題目である「清経」はこの地では上演されないらしい。歴史上源平合戦の末、この平清経は豊前沖で入水した。
そしてこの大善寺。その伝承は次のようなもの。
「平家が落ちていく中、宇佐神宮に助力を求めた。世の趨勢から助力は拒否したのだが、可哀そうとのことで大善寺のお子さんと、安徳天皇を入れ替えた。今でも平家の会などで“安徳天皇を救っていただきありがとうございました”とお礼を言われる」とのこと。
こういうことが歴史の面白さ。
(続)
・ここ大分にも隼人の伝承が残っている。隼人の放生会の化粧井戸、隼人の霊を鎮める百体社。
・そして最後には、天念寺を見る。この建築の様式は国東半島に多い方式。
縦に建物があるのではなく、横に広がった建物。そして建物が岩壁に突き刺さっている。左に天念寺講堂、右に身濯神社(みそそぎじんじゃ) があり、神仏習合がよくわかる。
(終)